2017年時点では、日本の有機農業の耕作面積はわずか1万ヘクタール(耕作地の0.2%)。国策として有機農業に力を入れているフランスでは200万ヘクタールが有機農業に使われています。2017年では、日本で作られるコメのわずか0.1%、野菜の0.35%しか「オーガニック」の認証を受けていないのが実情です。一方、世界では、有機農業市場は伸び盛りで、世界の有機食品市場規模は2018年に初めて1000億ドル(約10兆6000億円)を超え、今後も各地で成長が期待されています。
日本がこの分野で後れを取っている理由は、まず、政府や行政が有機農業に積極的ではないことです。ある輸入食品業者が「有機農業に理解がある政治家も農村部の有権者が反旗を翻すことをおそれ、公には有機農業推進の意向を示さない」と話したそうです。農林水産省も有機農業支援に力を入れているとは言いがたい状況のようです。フランスは2001年に「アジャンス・ビオ」と呼ぶ官民の有機農業振興団体を設立しており、2019年の予算は800万ドルにも上っています。このフランスの機関は有機農業に転換したい農家に対する資金援助などを行っていますが、日本においてはそういった動きはありません。有機農業先進国のフランスと比べると明らかに国としての対応の違いが目に付きます。
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