広々とした大地に青空のもと広がる「豊かな緑」の風景や、大地を吹き抜ける風に揺れる「黄金に実った小麦や稲穂」の風景。この写真をご覧になって、そんな平和で穏やかな印象を持たれた方も多いのではないでしょうか?しかし、この写真こそが環境破壊であり、自然破壊なのです。世界では、年間で北海道の約1.8倍もの森林が、農業や材木伐採、都市開発といった、人間の活動により失われているのです。「農業」と聞いて、環境破壊や気候変動との関係を思い浮かべる人は少ないのかもしれません。でも、実際のところは、現代農業、つまり商業農業こそが、環境を破壊しているのです。
熱帯雨林の消失。砂漠化、湖沼の消滅。ゲリラ豪雨。地盤沈下。がけ崩れなどの災害は、人類にとって大きな脅威です。その気候変動は、ずばり温室効果ガスが原因だと言われています。温室効果ガスは、全体の23%が商業的農業によって排出されています。現代の商業的農業が気候変動を発生させ、地球環境を壊しているとも言えるでしょう。
今、地球では、世界中で農地造成のために、森林を伐採し、山を削り、大地を切り拓いています。機械化された農業では、土地を耕すところから作物の収穫に至るまで、各所で機械を動かすための化石燃料が消費されています。ビニールハウスでは、冷暖房を稼働させ、エネルギーを消費し、温室効果ガスを放出しています。
農地で生産しているのは、人間のための野菜や穀物だけではありません。牛や豚などの食肉の生産のためにも、飼料として大豆やトウモロコシなどを生産しなくてはなりません。さらに、放牧するための広大な大地(牧草地)も必要になります。牛や豚のための飼料作物を輸送するために、ガソリンを使い、排ガスを発生させ、多くの温室効果ガスを排出しています。このように現代の商業農業は、気候変動や異常気象の原因を生み出しています。確かに、急速な世界人口の増加で、食料を生産しなければならないとう現実もあります。でも、こうして、どんどん、地球環境が変化していることも忘れてはなりません。
そろそろ、私たちひとりひとりが、食に対する考え方を見直す時期に来ているのかもしれません。目の前の食材が、どこからやってきたのか。その食材を作るために、どれだけの作物と水、肥料、燃料が使われているのか。遠い地で生産されたはずの食品が、どうしてその値段で入手できるのか。食材ひとつひとつが近所のスーパーに並ぶまでの過程を想像してみてはいかがでしょうか。私たちは、地球環境の変化を、次の世代に対するツケとして残していることを忘れてはならないでしょう。 |